BEST ALBUM OF 1995
 RADIOHEAD「Bends」

 これほど正攻法で、純粋なギターロックは近年あっただろうか。一般的にKID A OK~に比べて評価は低いようだが、前出の2作品は時代が必要とした音だったことに対し、60年代、70年代にこの作品が出ても別に殊更不思議ではない。いつの時代の人が聴いても名盤だと言うような永遠普遍のアルバムである。彼らの作品でどのアルバムが一番好きかと訊かれたら、今は正直KID A だ。だが、10年後、いや5年後でいい。KID Aを今の感覚で聴いてられる自信がない。OK~以降、KID A 以降という二大シーンを一バンドが気づいただけでも驚愕に値するが(少なくとも僕はそう意識して聴いてきた)、それだけにその原因的存在は相当消耗されてしまう。ここで鳴らされているただひたすらに素晴らしいメロディを追求した、音楽の原理であるかのような音はシーンとは無関係な場所に在る。それゆえに永遠にその輝きを失うことはないだろう。評価されるべきことはここからOK~に向かったことであり、KID A に至ったことである。レディオヘッド。つくづくロックだよ、このバンドは!こちらの気が狂いそうになるほどの速さで、ロックとはめまぐるしく変化し進化していくものだ。様々な未知の、刺激的で得体の知れないな音を前にするとき、今自分がどのような位置に居て、何を相手にしているのか分からなくなるときがある。だけど僕には常に帰っていけるアルバムがある。そしてまたここから出発できる。ビートルズをリアルタイムで体験できなかった僕らの世代にはレディオヘッドがいる。誇りを持って後世に伝えよう。

 Shellac 「At Action Park」

 一度はプロデュースされたい人、みたいアンケートをやると必ず上位に来るのが、この
Shellac率いるスティーブアルビニ先生(嘘)まあでもホントに、この人に録ってもらいたいミュージシャンはまだまだ大勢居ると思います。NIRVANAの「in utero」やPIXIESSurfer Rosa」等数々の傑作を手がけ、今でも引っ張りだこのお方。ロックファンが先生と呼ぶのは医者とこの人ぐらいじゃないかな。そんなプロデューサー業で有名な人なんですけど自身のバンドがまずかっこいい!ビッグブラックやレイプマンといった今や伝説となったバンドもいいのですが聴く人を選び過ぎる気がするので、こちらではこのShellac をオススメします。一言で言えば殺伐ロックの極地!ギターや他の楽器の重ね録りはない分それぞれの楽器の自己主張が激しく、凶暴です。

 The Verve 「A Northern Soul」

 これもこの場を借りて勝手に表彰すべき傑作アルバム。「URBAN HYMNS」同様 VERVEの持ち味である「歌」がここでもいかんなく発揮されている。微妙に抑えられたメロディラインは内に秘めた力強さを感じさせる。よく引き合いに出されるオアシスは、やはり「みんなの歌」というような気がする。別にどちらが良い悪いではなく質の問題である。一方のVERVEの歌はあくまで彼ら自身の為のものなのだ。彼らの曲は涙が出るほど感動的なものばかりだ。だけど、身をまかせ感傷に浸ることなどできない。 リチャードの声が向う矛先は我々リスナーを通り越し、その視線もはるか遠くを見据えているような気がする。俺とお前は違う。はっきりとそう言ってくれる優しさがある。個人的にはこちらの方が肌に合う。

 The Sea And Cake 「Nassau」

 シカゴ音響派やらソフトロックやらとなにやら難しそうな定義で括られ、一部のロックおたくにしか聴かれてないような存在の彼らですが、単純にいい曲!というようなトラックがいっぱいありますし、別に身構えないでも分かりやすいです。純粋にリスナーを楽しまそうというサービス精神溢れる姿勢が伝わって来るアルバム。曲作りの上手さはピカイチなので、楽しいしずっと聴けるという素晴らしい作品です。

 The Smashing Pumpkins 「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」

 ホントにいい作品だ!これに続くアドアも傑作で甲乙付けがたいが、やっぱり爆音が聴きたい時はこれに限る。ノイズではなく爆音ギターなんだけど、全然下品じゃないんですよね。優れたアーティストが一番脂ののりきってる時に出す2枚組ってほとんど歴史的名盤のような気がする...。ヴォーカルの声が嫌い、なんかスネオに似てない?とか言ってすぐに僕に返却した堪え性のない方々、音楽というのは一度その人のものになったら、かけがえのない宝物になるんだけどなあ。今じゃ考えられないけど、メチャクチャ売れたんですよね。ロックが音楽シーンのど真ん中にあった時代がまた来て欲しいものです。

 Spiritualized 「Pure Phase」

 97年の大傑作「宇宙遊泳」でやっとこさ世界に発見されたバンド スピリチュアライズドのこれまたいい2ndやっぱりこのバンド全作品イイです!壮大でサイケデリックなオーケストレーションがこれでもかと押し寄せてくるのですが、おしつけがましさは皆無。特にこの2ndはとりわけキャッチーでもなくフックの効いた展開もないので、こちらから歩み寄っていかないと退屈なただのバックミュージックになってしまう可能性が高いです。一人、ベッドルーム、ヘッドフォン、という最高の環境(?)があればそのカオス世界にドップリと浸かれるはず。よく出来た作品ですので長く付き合っていけますよ。

 番外編! ベスト ライブ アルバム

 The Stone Roses 「Crimson Tonight 」

 958月、セカンドカミング発表後のライブを収録したEP2nd好きのファンにとっては涙モノの音源。1曲目のDAY BREACK からしっかりと地に足着いた強固なローゼスグルーヴが突っ切っていく。誰と比べてっていうわけではいけど。おもわず、本物だ!って唸ってしまう。後から知って驚いたのが、ジョンがこのライブの数ヶ月前に事故に遭い、まだ鎖骨に6本のビスが入ったままプレイしてたってこと。その気迫に応えてか、マニ、ロビーの演奏も何か鬼気迫るものを感じます。そして極めつけはあのイアンの音程がはずれていないんです!まさに奇跡のライブ!(笑)

あとがき

 91年のグランジブームが発端となり、その火種が他のロックシーンにも飛び火し、ついに大爆発したのがこの95年だと考えています。UK,USやジャンル等を問わずロックが商業的にも大成功を収めた年だったわけです。
今読み返したらレディオヘッドだけやけに力入っていて、ちょっと恥ずかしいし、大好き丸出しで気持ちの悪い文章になっています。ホントすみません。「
black star」〜からラストまでの怒涛のたたみかけを聴きながら書いたらこうなりました...。この勝手に表彰のコーナーはまだまだ続けていきたいと思っておりますので、どうかそっとしてやってください。それでは次回またお会いしましょう。